だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#154 街頭演説をバックに診察する日もある。

夜は医師会に行く。

医者は患者を診て、生計を立てている。
その上に医師会活動までして、でも誰も損な役回りだなんて言ってないよな。
なんか得なことがあるんだろうなんて下衆の勘ぐりしたりされたり、全く一回きりの世の中だっていうのにな。
ライオンズ精神なんていうやつを昔聞いたことがある、ボランティア精神なんだそうだ。
みんなえらいよなあ。
病院の前の交差点で、政治家が陣取ってしゃべり続けている。
クルマなら、笑って候補者に手でも振って軽やかに通り過ぎてゆくだけかもしれないが、診療中の30分はさすがにきつかった。
彼らはこの師走の街を声をからして駆けまわっている。
選挙は明日で、投票率はまた低迷を極めるだろうけど。
政治家は、国を診ているという。
でも誰かが死んだら、その場所はもう他の誰かにすぐに置き換えられるような世間で、
川の流れに棹さして叫び続けることのできる人たちはほんとに偉いと思ってるんだよ。
だけどね、おれはおれを診ることがほんとに出来てるんだろうかな、
おれはおれのこと助けられるんだろうか、って思う時がある。
おれにはおれの立てる場所があるんだと信じながら生きていこうと思ってるけど、その決意は時としてもろく崩れ去る。
やっぱり師走だな。