だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#175 「遺伝性多発性嚢胞腎」の勉強会にゆく。

昨日の夜は久々に気合の入った勉強会だった。

 

遺伝性の「多発性嚢胞腎」の懇話会の第1回で、実際トルバプタン(商品名サムスカ)で治療をされている、帝京大学泌尿器科・武藤智先生の「ADPKDに対するTolvaptan投与の実際」という講演を軸に、大塚の美人学術のMさんの商品説明と、症例提示は、日赤のK先生と、愛大のM先生という、豪華で濃密な時間だった。

いや、小さい会場だったけど、こんな話誰が聴きに来んのよと思いながら出かけたら、若い先生たちで結構溢れててちょっとびっくりでした^^;

そうそう、司会は、県立中央病院院長で腎臓内科の西村先生と、愛媛大学第二内科教授で病院長のの檜垣先生というビッグな二人だったしね。

 

この遺伝性の多発性嚢胞腎っていうのは、70代までに半数が透析になってしまうという厄介な病気なんだけど、初めてそれを抑制できるかもしれないというdrugが保険適応になったわけで、そんなこんなも含めた話だった。

実はこの愛媛県では、1例も投与されておらず、だから実臨床を知る人はいないわけで、そういった側面でも、みんな興味深く武藤先生の話を聴いたのだった。

 

ムスカはべらぼうにコストが高いのと(難病指定を取ると補助が出る)、入院してからの投与開始が必要であるとか、利尿作用が半端無いので平均して5−7L程度の飲水が必要という、いろんなネックのある薬剤だ。それでも、腎容積の増大の抑制(controlでは5.5%が投与群では2.8%/yearに抑制されその効果は5年間続いた(新薬という関係上それ以上のデータはまだなし))、ひいては、腎機能の悪化を遅らせる可能性のある唯一の薬剤だからねえ・・。

武藤先生の話で、実際どんな患者さんに使ったらいいのかという、おぼろげな輪郭が見えたことは収穫だった。今、診させてもらっている数名の患者さんにより正確な情報提供ができるわけだし。

 

ちなみに最近のちょっと処方の難しい薬は全般的にそうだけど、e-learning受けて、認証されないと処方できないというもので、自分もちょっと勉強して処方できるようには一応なってます。

いずれにせよ、医療というのは、患者に寄り添ったものでなくてはならず、その一人ひとりの患者さんにどれだけデメリットを超える恩恵があるかにおいて選択が必要なのだ、と、抗癌剤とか副作用の多い薬剤をもう扱うことのほとんどない自分は、この薬剤についてはかなり慎重に考えさせられた一夜だったです。

 

愛媛県 | ADPKD薬物治療ができる施設検索 | ADPKD.JP ~多発性のう胞腎についてよくわかるサイト~ | 大塚製薬