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だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#271 今日が残りの人生の最初の一日、だね、確かに。

医学・医療・病院 日々の戯れ言
回診の時、患者さんに言われた。
 
わしが透析になるとき、先生は10年は保証すると言われた。
10年経った時また問うたら、あと5年は保証すると言われた。
その5年が過ぎたのだ、と。
そう言われて、はたと止まる。
 
今の彼には重篤な合併症が現れているのを、今の自分は認識している。
だがしかしそれが生命予後にどの程度の影響をおよぼすのかはまだ定かではない。
とにかく前向きに対処して(正確には基幹病院で対処していただいてとなる)、あとは綿密にフォローしてゆくしかない。それが現代の医学というものだ。
透析患者さんの合併症として色んな物が知られており、健常人よりは悪性のリスクも確かに高いのも事実である。
ではどうしたらいいのか?やはり早期発見・早期治療しかないのだと思う。
 
そこで自分はこう言った。
「あとはね、おまけみたいなもんですからね、1年1年を、いや1日1日を、宝物だと思ってやりましょうや」
患者さんは、笑った。
「そうですねえ」
そしていつものように巨大な熊のような体を横にむけた。
 
生命を紡ぐということは、ほんと賜物(gift)なのだと思う。
そこで「神」とかいう言葉を出すととたんに白茶けちまいますけど、そんな、目に見えない存在を身近に感じる瞬間だって確かにある。
この人はこっちに行くのに、なんであの人はあっちに行かないの、とか、そんな時には特にね。
だからっていうよりも、でも人間は、いろんなものに抗い続けて、今日まで人類の歴史を作り上げてきた。
これからもきっとそうやっていくだろう。
ならば、生きるということの意味を、より長く生きていくことの意味を、時に思ったりする。
小説家が売れなくって出版されるあてがなくなって誰の目に届かないとしても小説を書き続けるように、
医者たる自分がとんでもない二日酔いの朝にもきっちり外来をやり遂げるように。
(最後は不謹慎な例えになりましたけど^^;)
 
今日が残りの人生の最初の一日、だね、確かに。
 

アメリカン・ビューティー ― オリジナル・スコア版 サウンドトラック

最後のセリフは、この映画の中で主人公のケヴィン・スペイシーの言うセリフ。

Today is the first day of the rest of your life.