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だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#328 南大門の鹿

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いつも
どこか
なにかを置き忘れてきた気がして、
 
わたしは昔、
あの港で、
鎖につながれたまま
奴隷船に乗って櫓を持った。
 
潮風、燃えさかる太陽、波の向こうの蜃気楼、
指の皮は膨れてすぐに破れ、
とめどもなく吹き出す血と、
破れた背中にも痛みすら感じなくなった頃、
目の前の黒点が広がった。
 
ただ、
ポルトガルの港で、
痩せこけた女がファドを歌っていたのを覚えている、
 
そしてその哀しい響きだけが今もここに在る。
 

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