だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#347 りりィ・グッド・バイ(1952/2/17- 2016/11/11)

 

ゴールデン☆ベスト りりィ[スペシャル・プライス]

 
12月に腰掛けて レノンの夢を見る
誰のためなのか そじゃないのか ただただ生きている自分には
レノンの夢はいっつも重すぎるけど
 
たしかに菩提樹の下であの人は涼しげに目を細めていた
2500年前のことを覚えている
言葉は通じなかったけどおれはウンウンと頷いていたんだ
 
西行は桜の下で死にたいと欲し 鑑真はめしいた身体で海を渡った
彼らのいた時代は異なれど 夜の深さはなおさらなりだっただろう
今 夜の闇に耳を澄ませて 彼らの息吹をおれは隣に感じることができるだろうか
 
りりィの声が流れだす 夜のしじまに
あのハスキーな声は 昔はじめて心の奥底に染み込んだ時から 今までもずっとあったのだなと悟る
肉体の滅びのあとも 歌声は流れ続けるから 大丈夫だよ 多分 りりィ姐さん
 
あの娘が「大丈夫よ」って微笑んでくれるから まだもう少しは頑張れるはずさ
でも さびしい時は また声を聴くくらいのことも許されるだろう
今夜 この黒い塩ビの板を抱きしめて眠る
 
レノンの夢よ
あの人たちにもう一度告げることが叶うなら 
おれはこのちっぽけな今の自分のことをなんと告げようか
 
12月に腰掛けて 今日を急ぐおれを
12月に腰掛けて 今日をやり過ごすおれを
12月に腰掛けて 12月に腰掛けて
 
 

 

りりィ・グッド・バイ

りりィ・グッド・バイ

 

心が痛い

心が痛い

 

 
「私は泣いています」のりりィ姉御が亡くなられた。
64歳と新聞に記載されていた。やっぱり死因は悪性疾患だ。
あのハスキーボイスは一度聞いたら忘れられない。
自宅にある唯一の古いカセットテープを引っ張り出して聴いてみるとストンと腑に落ちてった。
りりぃの声はずっとこの胸の底にあったのだ。はじめて聴いた十代の頃から。その声は全然古びていなかった。
なんの符号か、最近観た松田優作選手の「遊戯」シリーズ3部作のラスト、「処刑遊戯」(1979)で優作演じるヒットマンの相手役として彼女が出演していたのだった。最も、ラストで銃声のみが聞こえて、彼女が自身を撃ち抜いたという描写で終わるのだけれど。
南十字星」というアルバムがまた聴きたいなあと思ったけど、未CD化でした。
そんなわけかどんなわけか、まだなってはないけどもうすぐ訪れる12月には、なんだかんだと忘れていた「過去」が一気に顔を出す。
それらはおれを苛む続けるのだけれど、いつもこの自分には出すてもなく、
自分は身体を丸めて耳をふさいで、ただただ時をやり過ごすのみだ。