だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#149 「手天童子」(KCスペシャル版1985年、連載は1976-78)by 永井豪

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永井豪『手天童子』、1985年の作品でした。

 

永井豪氏のSF大作「手天童子」を読んだ。


永井豪の魅力と言えばあのパースを超えていく画力の破天荒さと、また途中でストーリーがなんだかわけがわからなくなってしまってメーターを振り切ってしまうという、その意図するところが作者にもわからないけど天使が出ちゃいました的な、あの無茶苦茶さにあるのかもしれないあ・・と長年のファンは思う。
 
そういう意味では打ち切りにあったことできれいな円環を描いた「デビルマン」とか、この「手天童子」という話は、たまたまというか、うまく着地出来てしまった作品だろう。(それが作者の意図したことなのかどうかわからないというのが永井豪作品のダイナミズムでもある。)
 
例の最終的に漫画ゴラク連載で一応完結した「バイオレンス・ジャック」にしたって、最終的には「デビルマン」に帰結するという離れ業をやり遂げてしまったのだけど、あんなことができるのは永井豪以外いない。すべての物語が、デビルマンに縛られすぎているという意見も頷けるところだけど、ファンをそれを許しちゃうんだよね。
 
それに、なんと来年の頭からまたビッグコミックで「デビルマン・サーガ」が連載されるというではないか!
豪ちゃん大丈夫なのかな?また第一部完とかいう形で終わっちゃわないことを祈るよ。
 
さてこの「手天童子」なんだけど、鬼が赤ちゃんを加えて若い夫婦の前に現れるところから始まるという奇想天外な物語だ。
しかも15年後には鬼が赤ちゃんを迎えに来るのでそれまで預かってくれというような冒頭である。
そこから話は、平安時代酒呑童子やら、未来の地球やら、鬼の惑星やら、ジッ空と空間を超えて広がり、そして意外な結末に収斂する。
ほんと稀有な永井豪作品だけど、なんだか評価が埋もれているのがファンとしては気になるところ。
これは先ほど書いた、永井豪の破天荒さが、物語の整合性に負けているという点からそういう評価になっているのか?はたまた単にこの物語の素晴らしさにみんなが気づいていないのか?わからないところですね。
宇宙船とか、宇宙服のデザインを、当時日本のSF界になくてはならなかった「スタジオぬえ」さんがやってるのも興味深い。
 
それにしても豪ちゃんの作品、惜しげも無く、準主役級のキャラが死んでゆくよなあ・・。
親の死を目の前でみせられて、母親に親の敵を討つんだと言われ、128年ものあいだ、身体をサイボーグ体に改造し続けながら、主天童子郎が地球に帰ってくるのを待ち続けた弩級戦士「アイアンカイザー」。彼が、不完全なタイムマシンで時空を超えて平安時代までなんとかたどり着き、鬼の首になって「手天童子」に討たれるのも哀しかった。
 
マジンガーZ」の「悲しみの青きドナウ」の少女ロボットが、シローの叫び虚しく殺されるシーンも子供心に切なかったなあ・・。
 
こうやって語りだすときりがないんだけど、おれの血肉の幾分かは永井豪先生の物語で出来ているってことなんですよね。