#157 two of us 安井かずみさんとか加藤和彦氏とか、フィッツジェラルドとか。
何かにベースを置いておくことは、 この人生を生きてゆくにおいての処世術でもある。
この11−12月の、自分にとっては「音楽」 を皆さんの前で演奏できるという、ハレの場にむけて、ゆっくり、 あまりじっくりではないが絶えず動いていた。
たとえば、
みんなまだ、ジョン・レノンとYOKO・ 小野のカップルのことを覚えてるだろうか?
時代とともに駆け抜けたように思えるこの二組のカップルも、 こうやって振り返れば、 二組のなんら変わったことのない個人たちだったのかもしれない。
振り返ってみれば時代は残酷で、 でも誰にでも平等だったのかもしれない。
たとえば新生サディティックミカ・バンドのレコーディング中も、彼は 夕方になると自宅に帰ったという。
そして二人で正装して、ディナーを取ったというのだ。
安井かずみが肺がんで死に、
その一周忌もまたずに加藤和彦は再婚し、やがて離婚し、
2009年に軽井沢のホテルでで自殺した。
シャイで、エレガントで、インテリジェントで、スノッブで、
ガキではない「大人のカップル」だった。
たとえそれが虚像だったとしても、 その虚像をつくり上げるために二人のした努力は、 今も燦然と光り輝いている。
二人の墓石に彫られたのは「グレート・ギャツビー」