だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#269 「花火」by浜田省吾

My First Love

 

この12月には、浜田省吾さんの9年ぶりの愛媛公演にでかけた。

新しいアルバムも特に聴いたわけではなかったけど、第一部ではアルバムを全曲披露してくれた。

彼も歳をとった、おれたちオーディエンスも歳をとった。

でも、彼が伝えてくれるものは変わらぬものとしてしっかりそこにあった。それを確認できただけでとってもうれしかった。

それから、浜田省吾さんの前のCDを引っ張りだして毎日聴いている。「MY FIRST LOVE」というアルバムだ。

 

そのアルバムの1曲である「花火」がリフレインされている。

ある日家を突然出て、帰らぬまま生きてゆく中年男を描いた曲だ。浜田省吾さんは、こんなひどい男のことを歌にせんでもと誰かに言われたとか、語ってたけど、ブルース・スプリングスティーンにも同様な曲があって(HUNGRY HEART:ある日妻も子供もいたのにおれのほうが消え失せたのさ/誰もが満たされない心を持ちながらも/何かに賭けたり自分の振られた役どころを演じたりしながら/生きて日々を送ってるんだよ/キミと出会って恋に落ちた/でもおしまいは始めっからわかっていた/誰もが満たされた日々や安らぎを求めてる/でも満たされぬ心を抱えてさまよってるんだ・・(意訳))、それもあってか、以前に聴いた時にはそう印象に残るものではなかった。でも、今、何故か心に引っかかり続けている。

 

あの日 すぐに帰るつもりで 

車を車庫から出して アクセル踏み込んだ 

すぐに帰るつもりで 家を出てもう五度目の 

 夏の夜空に 花火・・

 

 

最後のverseで、彼は手を握り合って誰かと夏の夜の花火を見ている。そして何故か涙に滲んでいるとうたわれる。花火を見上げている男の傍らにいるのは一体誰なんだろう。新しい恋人なのかな?それとも元の家族なんだろうか?夏の花火は美しく儚い夢のようだ。高く上がって、花開き消えてゆく。その下で見上げているヒトには幾百万ものドラマがある。楽しい夢も、哀しい後悔も、嘘も真実も。

そして、このおれのなかにもやっぱりまだ「満たされぬ心」が闇の中でとぐろを巻いて赤い舌をチロチロ出しているのを感じることができる。じゃあお前は一体どうすればよかったんだい?お前に別の選択があったのかい?たとえばそう闇に問いかけても沈黙が帰ってくるだけだ。