#270 我が国の梅毒はどうも増加傾向にあるらしい。
ああ、言い遅れましたけど、年が明けましたね。
今年がどんな年になるのか皆目検討もつきませんけど、混沌とか疲弊とか酒による酩酊とか興奮とかそんなものの中で、なんとか前向いていきますんで、どうぞよろしくお願い致します。
最近、何でも梅毒が増えてるらしい。
確かに梅毒は初期症状(初期硬結やら、無痛性のリンパ節腫脹やら、その後のバラ疹やら)があってもさっと消えてゆくので見逃されやすい側面はある。
なんでも2010年位から日本でも再び増加傾向にあるんだそうな。それも異性間での感染が増加傾向にあるという。
淋菌性咽頭炎なんてものが、oral sexの影響もあってうちの病院でも散見されるようになったけど、今度からは梅毒の検査とかも必要になるのかもしれんなあ。
実は、自分が今まで診たり治療したりした梅毒患者さんは、この長いのか短いのかわからん医者人生で、たったの3人である。
うち一人はどう考えても同性間の感染であり、ティーンエイジャーだった。うち一人は子供さんが先天性梅毒だったというとんでもないオチまでついていた。ハッチンソンの歯(先天的梅毒による形成不全)なんてそんなも知ってるはずもないよなあ。残りの一人はたまたま血液検査で見つけた。いや正確には見つかったのだ。STI(Sexually Transmitted Infections)のスクリーニングみたいなのを希望されてそれで見つかったのだった。
罪を憎んでヒトを憎むなという言葉がある。
いや、性病=罪というわけでもないんだけど、誰かから来て誰かに行っちゃう可能性があるという観点では、多少罪の意識も感じてほしいよなあと思える方もいるわけで・・。
性病に関しては、とにかく見つかった以上は、本人も完全治癒に持ってゆき、パートナーにその可能性があればそちらも必ず治療の必要なことを伝えて治療していただく、それだけを念頭に置いて医者としての自分は淡々と説明しているつもりだ。そりゃoralのこととか店のこととかデリヘルのこととかいろいろ聞くけど、すべての可能性は網羅しとく必要があるからね。ほんとだよ。
まあ、泌尿器科のダークな雰囲気というのは、そんなところかも来とるんかもしらんけど、性病っていうのはね、太古の昔から人類とともにあったのだよ。まあできたらなりたくはないものだけど、なったからにはきっちり治して、うつされた女の子とか、うつした女の子のことも考えるのが、それが愛だと思うんだよ。愛というよりは、人間としての最低限の「誠意」ですよね。そういったことをつきつけられるのが性病診療だと思って患者さんに接してますよ。