だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#312 「野火」(2015)をWowow録画で見る。

野火

 
「野火」(2015)をWowow録画で見る。
 
これは大岡昇平氏の文学作品「野火」を、塚本晋也監督が自主制作で作り上げたものだ。
これを機会に、Wowowで塚本監督の作品が続々と放映される模様で、それもまた楽しみだなあ。
でも、撮りためてはみようと思うのだが、いつ観るのかが問題ではあるけれど。
 
「鉄男」とか作ってたヒトが、レイテ島の日本軍の敗残と人◯喰いの映画を自主制作だもんなあ。
構想は何十年も前からあったというのがまたすごい。
彼の作品は万人受けするというたぐいのものではないが、どの作品にも「エッジ」が立っている。
鋭利な刃物の上を素足で歩いているような緊張感を観ているものも強いられるのだ。
だから個人的には好きだけど、疲れる。
 
この映画は、戦争というフィールドに配置された人間の「本性」というものを描いた作品だ。
決して目新しいものではない。
でも「エッジ」が立っていることで、何十年も前から日本人は、いや人類は進歩していないのだということを再認識できる。
 
役者陣も素晴らしい。
 
伍長役の中村達也の鬼気迫る目線と、
ヤクザよりヤクザなリリー・フランキーさんの怖ぇことったらありゃしない。
リリーさんに絡む若者役の森優作くんもいかにも日本人って感じでよかったよなあ。
 
あらすじとかはみんな想像つくからあえて書きませんけど、
物資もないのにあんなところでよく戦ったよなあの日本軍が、内部から、いや日本軍じゃなくって、人間存在が、かくも容易に崩れるということが、わかっていても、画面を観ててつらすぎました。
 
そうそう、この映画は、目を背けたくなるのに、誰かが無理やり目を閉じさせないでいるあの感じです。
 
やはり南方の島での日本軍との戦いを描いた超大作TVシリーズ「ザ・パシフィック」では、
日本軍は人でなしに描写されて、
戦線で主人公の米兵たちの方が壊れてゆくのでしたけれど、あれもあれで怖かったですね。
 
沖縄戦で、銃座に構えたまま、眼から上の頭部が吹き飛び、脳漿が池みたいになった日本兵の風景、
あれは今でも忘れられませんねえ。
 
まあ、戦争というものは、狂気の上にしか成り立っていないので、
所詮、人間が平常心でそれを生きることは無理なのであるってことなんですかねえ。
 
今さらのようにそんなことをえらそうに言いやがってと、
白けた空気があることも苛めないのでしょうが、
 
でもホントの事を言うと、
こないだの殺人だって、イスラム国のテロだって、狂気と殺人と戦争は、現代社会にもいくらでも見つかるんですけどね。
 
おすすめするわけではないけど、まあ時間があれば見といてほしい映画です。
 
変な紹介だな。