#395 そしてよりよく生きることと長く生きることの違いについてよく考える。
朝日新聞9/30「医学部受験生への伝言」というものを読む。
秋を迎えて、大学受験シーズンが本格化します。相変わらず理系で人気の高いのが医学部。政府は超高齢化に対応した医療の体制づくりを進めていますが、はっきりしているのが将来の医療需要の変化。これまで医療の柱だった高度急性期や急性期の需要が減り、回復期の病院の必要性が増します。回復期の病院では、高齢者の肺炎などの急性期対応はするものの、高度な手術はせず、在宅復帰に向けた入院医療を提供するのが仕事です。専門性が求められる脳疾患でのリハビリ病院とも別のものです。一方、医師のキャリアの王道は、高度急性期や急性期の病院で働くことです。国家試験に合格後の医師教育も、急性期の医療現場で行われます。しかし、回復期の需要が増えれば、高度な医療技術を身につけたい多くの若手医師にとって「狭き門」となります。ある現役医師は、急性期と回復期の医療需給のギャップについて、こう例えます。「高級店のすし職人として育成された人が毎日、大衆食堂で肉じゃがを作る仕事をやりたがるだろうか」
「高級店の寿司職人の教育を受けたものが、毎日大衆食堂で肉じゃがを作る仕事を好むだろうか?」
今後の在宅医療とかへのシフトがますます予想される医学界について、
ある現役医師が言ったとか。
彼の発言はちょっとおごってるし、誤解を招きやすいかもしれないけど、彼の気持ちはわからんでもない。
再生医療とか、iPSで心筋が再生できるとか、それは夢の分野かもしれないけど、
鉄腕アトムが白黒のブラウン管にいた時代よりは遥かにリアルに近づいてきた。
ロボット手術とか、分子標的薬とか、IMRTとか、介護ロボットとか、64列のCTとか、
あたりを見渡すだけで実現された魔法のような医療はたくさんある。
HCVだって撲滅を視野に入れられるようになってきたじゃないか?
そのうち、医者の隣に幾百万ものデータを持ったペッパーくんが座っててくれて、鑑別診断を教えてくれる日だって来るだろう。
素晴らしきこの世界!
でもね、医学理念と医学の最前線を学んだ上でしか、一般医療とか回復期の医療は存在しないのだと思うよ。
はじめから在宅医療についての実務を学んでも意味などない。
家族への根回しとか聞き取りとか信頼関係の構築とかか、介護関係者とのやり取りとか、訪問介護との連携とか、
(本人との信頼関係が一番なのは当然として)
そんなものに関しての知識は、その患者さんの人生の終焉とか疾病の経過に関してのビジョンを持ちうる人にしかできないことなんだ、と、
こういうこと書くと、妙に誹謗中傷とか、
だから医者はいつも上から目線でしか見れんのよねとか、
そんなこと言う輩が必ず出てくるんだけど、
そして確かにこれも少しおごった言い方かもしれないが、
ほんとそう思う。
そしてよりよく生きることと長く生きることの違いについてよく考える。
*写真はダ・ヴィンチに引っ掛けてみました^^;