だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#677 透析室にやって来た彼との付き合いももう23年になった。

a.
 
昨日はまた一山超えた。まあそれも次の山が訪れるまでは、という感じだ。
なので本来はお疲れといきたいところだが、心は高揚しなかった。
体の周りに薄い皮膜が張り付いていて取れない感じだ。最近この感触がいつもだ。
 
ちょっとやばいぞ、おれと思いながら、なんとか身軽をモットーにあくせくしている。
 
b.
 
18時からWebセミナー。臨床工学技士対象のものだ。
実は、当院の透析室技師長の彼が発表する。
昼、奴がえらく緊張していたのでとりあえず茶化してはおいたけど、リラックスには至らなかったみたいだ。
 
『キンダリー5Eの導入〜クリニックの観点から〜』
 
というもので、ほぼ自院のデータだけで50分構成されている。
自院のデータだけだよ、すごいよね。
そんな彼の話を聴いていると、一応師匠である自分は、こんなに偉くなってもういつ死んでもええなあと思いますね。
 
やつとは、開業以来の付き合いだ。
彼が、新卒予定の学生の時に面接して、3名の候補者から彼を選んで、当院で1名だけの専門の技師さんとして卒業したてで来てもらったのだ。
その時はまだ大きな水槽の中で透析液を撹拌して作成するという原始的なシステムで、
西も東もわからない彼には来てすぐに松山赤十字に研修に行ってもらったので、
朝は自分がしばらく水作りをしていたのだ。ぐるぐるぐるぐるかき回すんだよ。手動やらモーターでね。
まあ患者さんもほぼいなかったのにそんなことが可能だったのだ。
彼が自分の穿刺を見て、自分でもやってみますと言い出すのには数年を要した。奴は慎重派なのだ。
(その他過去は容易に思い出せるが・・割愛)
その彼が今や、十数人の部下を率いて、当院のすべての透析を見てくれているんだからね。
ここまでよく来たよなあ、お疲れ様、これからもよろしくね、と肩を叩きたいところだが、
多分今は彼の方が先を自分の先を走っており、肩を叩かれるのは自分のほうかもしれない。
あはは、また昔話になってしまった。
 
c.
 
ほんと、他の透析室とうちの違いは、当院はほぼ技師主体の透析室であるということだろうか。
 
彼がやってきた時に、
「うちの病院は、すべての透析業務を技師さん主体でやろう。
技士が臨床工学士であるのは勿論のこと、医師でもあり看護師でもあり、介護もするし、全人的存在であるというふうにできたらいいな。だから、よくある、機械だけ、水(水質・エンドトキシン(開業当時はそんな言葉なかったかも・・))だけを見ているというのはなしにしようね。」というふうに伝えたのだった。
 
だから、自分は自分の透析室を誇りに思っている。
リンの管理は悪いし、医者はそう優秀でもないかもしれないけど、うちの透析室は誇れるし、こんな発表までしちゃったよ、てなことを、台所にMacbook置いて講演聞きながら、夕食をつくりながら、考えてたんだよ。