2016-09-25 #328 南大門の鹿 FARAWAY HOME BOOKS 日々の戯れ言 poetry,and any creation いつも どこか なにかを置き忘れてきた気がして、 わたしは昔、 あの港で、 鎖につながれたまま 奴隷船に乗って櫓を持った。 潮風、燃えさかる太陽、波の向こうの蜃気楼、 指の皮は膨れてすぐに破れ、 とめどもなく吹き出す血と、 破れた背中にも痛みすら感じなくなった頃、 目の前の黒点が広がった。 ただ、 ポルトガルの港で、 痩せこけた女がファドを歌っていたのを覚えている、 そしてその哀しい響きだけが今もここに在る。 国銅〈下〉 (新潮文庫) 作者: 帚木蓬生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/02/28 メディア: 文庫 クリック: 1回 この商品を含むブログ (10件) を見る