NHK-BSプレミアムのドラマ「拝啓 色川先生」というドラマを観る。
去年見た、伊集院静の「いねむり先生」とおんなじシチュエーションを描いたものだった。
やはり、人生のどん底にいた若き日の伊集院静が、色川武大氏との交流で少しずつ変わっていくという大筋はおんなじだった。
色川武大氏は「狂人日記」を書き上げて、岩手に引っ越し、心臓破裂で没した。
自分が「狂人日記」を読んだから言えるのだけど、やっぱり、色川武大氏の心のなかを描き出したとしか思えない「狂人日記」を味あわないと、ドラマの1/10しか味わえないのだ。
しかし、この短期間で、民放とNHKが、同じ題材でドラマを作ったことにはどういった意味があるのだろうか?それも皆目わからない。
ただ、藤原竜也と西田敏行のドラマで、ようやく、自分は「狂人日記」を読破できたのだから、そのことには意味があるのだろう。
吉田拓郎が、自死した加藤和彦氏と、そのパートナーである安井かずみ氏にプロデュースされて作ったCDがある。
「サマルカンド・ブルー」だったかな。
その中に「レノン症候群」という歌がある。
♪嘘がいくらか上手くなる
なのに今では酒にさえもう心から酔えないだろう
♪レノンが云ってた人生は変わる所に意味がある
もう彼女とは会えないだろう
♪想い出の風が吹く忘れてた夏が行く
時は流れいつか心の海に出る・・
冒頭、村上淳演じる伊集院静が、土の中に自分を埋めて顔に土をかけ、耐えられず起き上がる。それを覗きこんでいる少年に「おれが死のうとしてる人間に見えるか?」と問いかけ、野球帽の少年は精一杯首を横に振り続ける。
生きることを選択したものは、生き続けねばならないのだ。
色川武大「狂人日記」を再度読み終えた。
- 2013.12.30 Monday
- 14:47