#40 そんなセリフで始める今日に・・
そうやって、自分についてもささやかな嘘をつき、自分を安心させ、他人を納得させる。
あの時、あなたも頑張ったんだから、あっちむいて逝った人も後悔なんかしちゃいませんよ。
これが結局は誰にとってもいいことなんだよ、と。
自分だって微力ながら出来る限りのことはやったではないか。
そう自分に言い聞かせている気もする。
でも、ほんとにそうだろうか?
うんうんって、いろんなことを受容しながら、笑って、
結局自分の心の奥底に眠っているものを「封印」して、
そうやって、もしかしたら自分の中にある自分の「死」を、ちょっとずつ先取りしていって、
その貯金箱が満杯になった時、嘘にまみれた自分がこの世からアバヨするとしたら、ちょっと悲しいかもしれない。
でもその時は、自分のホントなんてもうなにもなくってカラッポなのかもしれないので、
心なんてもうどこにもなくなって、軽い気持ちでいられるのかもしれない。
どっちなんだろうな?
そんな風に心の振幅は上がったり下がったりで、
そうやって何十年も生きてきたのではあるけれど。
ちょっとしたことが、無論救いにもなり、
ちょっとしたことが、無残にもおれの心に轍を残してゆく。
今日で全てが報われる、
今日で全てが始まるさ。
昭和の偉大なるおっさん・泉谷しげる氏はそう今も歌い続けている。
すべてが今日のようで、
過ぎてきた過去も今日だったわけで、多分今日の明日ぐらいには、まだおれはぶら下がっているだろうから、
果てしない「今日」を続けることしかないんだよね、と、
そんなセリフで始める。