#101 忘れられない歌を突然聴く
で、 ここを抜け出して何もかも捨ててどこかに行ってしまいたいなんて つぶやいたりしてたところだけど、
頭の中に強迫観念のようにこんな台詞が浮かんできたんだ。
お前の一番大切な物を捨てないと、 お前はどこにも行けやしないんだよ?
そしてそれがどんなに身を切られる思いなのかわかっていて、 それでもお前は行こうとするのか、 なんて想念が浮かんできたんだ。
それは実はとても怖い考えだった。
今の暮らしだって、自分の力で築きあげてきた。
それを捨てて降りてしまうという甘美さと、 それをすべて失ってしまうという怖さと、天秤ばかりにかけて、 それでもお前はここを出てゆくのか?
いつか選ばなきゃいけないことではあるけれど、 いつか決めにゃならんことではあるけれど。
いろんな人に触れて、いろんな人と酒を酌み交わす。
いろんな人の絵を描いて、いろんな人のエネルギーに触れる。
おれはどっかに向かおうとちゃんとできてんのかな?
泣いたり喚いたり、怒ったり拗ねたり、こんなんでいいんかな?
明日には、「愛媛透析研究会」 っていう会の当番幹事をさせてもらうんだけど、
これだって一人じゃなにもできないけど、 ここまでみんなに育ててもらって、 うちのスタッフたちも育ったからできることなんだ、と、 振り返ってみたりもする。
福島から、特別講演に来てくれる先生だっているじゃないか。
いろんなことが流れていって引っかかって、また流れてく。
いつか決めなきゃならん日を決めるのはそれでも自分でありたいし 、きっとその時おれは自分の肉を削り骨をそぐだろう。
そう、この歌が突然不意打ちのように流れてきたら、 飯を喰う手も止めて、セックスもやめて、 誰もがここを出てゆくのだろうか。
涙も嘘も、地位も名誉も、みんな投げ捨てて。
それでもここから出てゆく日を夢想する。
これは中国雑技団の少女でもクンフー使いのお姉さんでもありませんよ^^;