だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#205 平井和正、何十年ぶりの「死霊狩り(ゾンビー・ハンター)」

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平井和正氏のゾンビハンターを久々に再読しました。そういう意味では新しい衣をまとった電子書籍端末・キンドルはいいかも。ちなみに1巻は昭和56年の11月22日に読んだと書かれてた。(Made with free #NoCrop app)

 

平井和正氏はひっそりとなくなっていった。

 

晩年は作家活動といっても、世間一般のレベルで言うならば、あの「幻魔大戦」の時ほど騒がれるようなことはなかったので、まさにひっそりという感じだった。世間の一般評価ではやはり「8マン」と「幻魔」の作家だったのだ。

自分は彼の最終作品である「幻魔大戦deepトルテック」を手に取ることはないだろう。「犬神明」を読まないのと同様の理由で・・。

そういうわけで、自分の中では、少年ウルフガイこと「犬神明」は、今も愛するものを失ったままの姿で、荒野に立ち続けている。その彼の背中の頑なさは何十年たった今でも変わらず、いまだに声がかけられないままだ。現実世界では自分のほうがずいぶん歳をとってしまったなあ。

 

kindle版で平井和正氏の「死霊狩り(ゾンビーハンター)」(元々は桑田次郎漫画版「デスハンター」の原作として小説形式で書かれたものをふくらませたので、これから「ウルフガイ」に進展していったというのは有名な話)を第1巻から読みはじめた。

amazonだとkindle持ってれば月に一冊無料というのがあってその対象だったのだ。古い小説だったが、そう違和感を感じたわけではなかった。これは自分が進歩していないせいなのか、小説の中の情念が古びていないからなのかどっちなのかは不明・・。そして2巻は自分が所有している茶色く変色した文庫本の方で読み、月が変わって5月になってまたkindleのほうで3巻を読み終える。初出は1978年。40年近く前から進歩のないのはオレだけじゃなくって人類もなのかもしれない。残念ながら宇宙生命体であるゾンビと人類はいまだに共生関係にはいないしなあ。とにもかくにも感慨深い。3巻には漫画版の方の「デス・ハンター」(「8マン」の桑田次郎氏の作画)の幻の最終回の小説版が付属されていた。読んでは見たものの、something newが得られたわけではなかった。その後書かれた「ウルフガイ」でも、人間の狂気に苛まれながらも不死身性のゆえに生き続けなければならない過酷な宿命を狼男たちは引き受けながらも、壊れていって宙ぶらりんのまま途切れた(これは自分の読んだ範囲での認識ですが・・)。だから「幻魔宇宙」に光芒を見出そうとしたんだろうか?そしてその試みは結局、平井和正氏の内的宇宙において、安寧な終息(収束)を迎えることができたんだろうか?

残念ながら、この「死霊狩り」、物語のスケールはでかい割に、舞台はこじんまりとしていて、平井和正氏の情念だけが空回りするような描写が、今読むとややレトロな感じをも抱かないでもなかった。

だけど、リアルタイムでこれを読んでいた時、おれの思考の一挙一動には、平井和正氏の情念が住みついていたのだ。

永井豪の「デビルマン」とか、平井和正の「ウルフガイ」や一連の著作(この「ゾンビー・ハンター」もしかり」)が、おれの若き日の精神形成のコアであったことは、時が過ぎても否定出来ないし、否定するいわれもない。

 

【蛇足】

Web版のクラブサンデーで、石ノ森章太郎タッチで「幻魔大戦Rebirth」が連載されており、紙の単行本も第1巻が上梓されたところ。毎月のリリースを楽しみに読んでますよ。平井氏も石ノ森氏もいなくなっちゃったけど、こうやってcreationが受け継がれてゆくのはartにだけなせる技だろう。素晴らしい。

 

幻魔大戦 Rebirth 1 (少年サンデーコミックススペシャル)