だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#153 夢を見て目覚めた。

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photo by swan-t

夢を見て目が覚めた。


目が覚めたら、列車の中だった。
それも普通の電車。なのにえらく速い速度で走ってる。周りには知り合いが座ってくっちゃべっている。
みんなだいたいおんなじ駅でおりるはずなんだけど、ふと見ると、ちっちゃな女の子がごそごそと手袋を探している。
 
彼女と一緒に、吊り棚とか、床とか覗いてるうちに、気が付くと友達はみんな降りてしまって、すでに電車は動き出している。
ああそれもしかたがないことだったんだなあ。
これもあれもどれもそれも大きな流れの中の一コマなんだから、自分が今更じたばたしてもどうにもならんのよなあ。
などと、なぜか醒めた台詞を頭のなかで呟いている。
 
「お母さんは?」と聞くと、
彼女は首を横にぶんぶんと振って笑うのみだ。
「あのね、キライなヒトとでもいっしょに生きてかなくっちゃいけないの?」
なんてこむつかしいことまで言う。その笑顔、やっぱりどきどきとするじゃないの。
いや、おれはいたってノーマルのおじさんだからね。などと自分に言い訳してみたりする。あはは。
「さあねえ、おじさんには難しすぎてわからないけど、好きなことを考えて生きてくことが一番大事なんじゃないの」
なんて、おいおい、またムツカシイ切り返ししてるよ。
 
自分だって、好きなことだけな人生じゃないし、大人は多かれ少なかれみんなそうなんだよ、お嬢ちゃん。
おれだって逃げ出したくなることあるけど、やっぱりきちんとホテルに帰って、荷物をまとめて、早く空港までいかないと、飛行機に間に合わないし、うちにも帰れない。
うちに帰って何があるのか?
職場に帰って何があるのか?
フリーズしちゃうじゃないか。
お嬢ちゃん、きみの問いは、だから、難しすぎるんだってばあ!
 
そもそもいったいここはどこなんだろうな?
 
電車が風を切る音がして、あたりはだんだん曖昧になり、女の子はいつしか手を握って自分を見上げている。