だからオレは泌尿器科医でおしっことちんちんの医者なんだってば!(2)

生きる速さで書きなぐることができたらいいのだけど・・

#94 ひとり『原田芳雄祭り』その8〜「もし叶うなら、今生、どこかでまた会おう。な?」火の魚(2009)

「折見……お前が持って生まれ、そしてお前なりに守り通すであろうその命の長さに、俺がなんの文句をつけられよう。
心配するな。俺とて、後に続くのに、そんなに時間はかからんさ。……だがそれでも、もし叶うなら、今生、どこかでまた会おう。な?」 


 
 
このドラマに、現実世界では大腸がんで死んでいった原田芳雄をダブらせることは容易だろう。
 
上述のセリフは、ラストシーン近くで、
がんで余命いくばくもない(と思われる)自分の担当編集者・折見とち子(尾野真千子さんがいかしている)に、
自らも胃がんに怯えた(実際には良性だった)老作家・村田省三(原田芳雄)が船の上で言う独白。
そのセリフに続いて、原田さんは「ああ、タバコ吸いてえ」と後甲板で叫ぶ。
それは脚本にはなかった原田芳雄さんのアドリブだったという。
そうなんだよ、それが役を引き寄せる役者である原田芳雄が、
都会を捨てて島に隠遁してしょうもないエロ小説を書いている村田省三という老作家に対して出した答だったんだ。
おれは(死ぬけどその時まではね、刮目して)生きるよ(だからお前も死ぬまでは生きるんだからその時間を生きろよ!)、っていう答えだったんだ。