#388 ひとり『原田芳雄祭り』その9〜「悪夢探偵」(2007)
久々に原田芳雄さんに会った。
と言っても原田芳雄さんと面識があるわけでもない。
鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」の舞台挨拶をみるためだけに、
大学浪人している時、大阪まで行った(そんなことしてるから2浪したんかなあ)。
その時の原田さんは、本当にミリタリールックの髭ボーボーのあんちゃんだった。その感じでシャイに喋るわけですよ。
その時原田さんのサインをもらった。
原田さんはレゲエのリズムで日本語訳したスタンドバイミーを歌われてて、それがすごく印象に残っている。あの「寝取られ宗介」の時と同じような歌い方だった。
原田芳雄さんは大腸がんで、73歳でこの世から消えた。
2011.7.19.
なのでもはや映画やCDという媒体を介してしかお会いすることはできないが、
そうやって、もうこの世には存在していない人にまた会いに行くという事が、仏事の意味なのだとしたら、仏事とかは意味があるのかもしれない。
いや何を俺は血迷っているんだ、
イマジン
想像した時に全てはホントになるとかつてジョンレノンは歌ったのではなかったのか
イマジン
想像するとき君はいつも隣にいるよ、って。
原田さんの悪夢の中に降りて行った悪夢探偵(松田龍平)は、原田さんをあちら世界においてきたまま出てくる。そして現実世界で、原田さんは息絶えるのだった。実はこの悪夢探偵は珍しく2作目まで作成されて、おりなかなか興味深い作品だった。
それにしても、塚本晋也もやべぇ監督の一人ではある。
ベタだけど、顔の中心が避けていったり、口が特殊メイクで陥没していったりする描写は、夢とは言え説得力ありありだ。
映像で見せるのは映画ならではで、好みにくい世界から自分を開放する一番いい方法は、自分ド命を立つことなんだ、なんでおれはこんな簡単なことに気づかなかったんだ、と叫ぶ安藤政信くんは痛々しくも、それが世界の真実だと気づいたいや知っていたおれは軽い嗚咽と嘔気の中で画面を観続けていたんだ。