#592 夕焼け空は赤い。
デジャブのような日々だ。
昼から血をかぶった。止まったと思った血管からまた血は吹き出る。
濡れた雑巾のようになった布で、避けた血管をおさえながらかつて救急車に乗ったこともあった。
そのヒトももういない。
小心者なので、びびってはいるのだけど、
そうやって患者さんを前にピンチになっているとき、こんな事は以前にもあったよねあの時どうしたっけって覚めた心で思ってしまう。
一瞬だけ途方に暮れて、醒めた自分の中から色んなものを呼び出して、いつものように愚鈍な頭をフル回転させて解決策を見つけようとする。
だけど、きっと無意識下ではそんなシミュレーションを繰り返してるんだろうね。
止まることはできない。
患者さんは待っており、一つ終われば次がまた来る。
こんなことを繰り返して、
最後の最後にハードディスクが止まるように止まってしまうのだろう。
プッツンてね。
That’s all.
ブルーハーツの「夕暮れ」と言う曲を聴いた。
はっきりさせなくても良い
あやふやなまんまでいいんだ
そう歌われているけどしみるね。
何でも答えを求めたがるよね俺たちは。いや君たちも。
そんなことない?
夕焼け、夕焼けが美しい、赤、太陽の赤、命の赤。
誰もがちょっとだけ足を止めてしまって眺めるんだろう。
でもそこでぼーっと暮れゆくまでたたずんでいる人もいないよな。
みんなちょっとだけ眺めて自分の世界に帰っていくんだ。
せいぜいすれ違う位だろう。
すれ違うときに何かがそうそう生まれるわけでもない。
そんなことだってわかってる。
それでも、夕焼け空は赤い 命のように赤い。
いい歌だね。
いい歌だね。