#687 山田正紀「神狩り』
ふと思いついて山田正紀の『神狩り』を読む。
言わずと知れたデビュー作にしてウルトラ級の作品である。
自分の持っている角川文庫の最終ページを見ると、昭和52年11月10日初版発行と書いてあり、当時の値段は260円だ。
その頃は、多分ハードSFとか言われてて、ホーガンとか、日本では堀晃(「梅田地下オデッセイ」とかすごい発想だったよね)さんとか、その頂点にいたのは当然小松左京氏だったのだと思う。谷甲州(今見てみるとあの日本沈没の2分を書かれていた!)さんとかもいたかな。
友達の中に、その傾向の好きなKくんというやつがいたけど、彼は理系だった。
でもそういう自分も理系だった。
その時は浪人生だったし余計に鬱屈していたわけで、このまま大学に入れなかったら俺の存在する場所なんてこの世のどこにもないんだよなあと本気で思いながら、さりとてそう勉強できるわけでもない、まあダメダメちゃんでしたよ。
『神狩り』の話が一向に出てこないけど、それはやはり古いSFでありました。今となってはね。でも若い時にこんなことを考える人がいるというのがすごいよなあ。こんなコロナの世の中になって、人は余計に神と対峙し損ねているような気がするのであります。