#625 病院の朝
夕方が来て日が沈む。
海の近くにオレンジの大きな太陽を見た。
新しくできた お菓子屋さんでモンブランを買って食べる。
スクリーンの中では何千何万もの宇宙戦艦が爆発して、その画面の中ではしかしヒトの血は流れないのだ。
どこかの戦争。どこかの争い。どこかのウイルス。
音を奏でて何を伝えよう。
伝えるために技術を磨く、伝えるために楽譜を読む。これを作った人は一体何を考えていたのだろう。
暗闇がだんだん朝の光に変わって、今日は病院にいる。
何十年もこの稼業やってるのに、まだなれないことがたくさんある。
珈琲を入れて、薬を飲む。
スケッチをして、眺めてみる。
色を入れてみたくなる、ちょっとだけ。
ほら、こうやって、停滞した時を開放してやるんだよ、そっと、でも前を向けてね。